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「色が合わない」を解決!熟練職人が行う「調色(色合わせ)」の凄技

車の色を合わせる

車のキズやヘコミを修理したあと、「なんとなく色が違う気がする」と感じた経験はないでしょうか。遠目ではきれいに見えても、近くで見ると微妙な色のズレが気になる――こうした違和感は、鈑金塗装において決して珍しいものではありません。

この『色が合わない』問題を解決するために欠かせない工程が「調色(ちょうしょく)」です。単に同じ色番号の塗料を使えばいいと思われがちですが、実際の現場ではそれだけでは不十分。ここに熟練職人の技術が大きく関わってきます。

 

なぜ色はズレてしまうのか

自動車のボディカラーには、それぞれメーカー指定のカラーコードが存在します。しかし、このカラーコード通りに塗料を調合しても、実際の車体と完全に一致するとは限りません。

その理由はいくつかあります。まず、経年劣化です。紫外線や雨風の影響によって塗装は少しずつ色あせていき、新車時の色とは微妙に変化しています。また、製造ロットや塗装ラインの違いによっても、同じカラーコードでも個体差が生まれることがあります。

つまり、目の前の車にぴったり合う色は「その車専用に作る必要がある」ということです。

 

調色は『感覚』と『経験』の世界

調色とは、複数の塗料を配合しながら現車に最も近い色を作り出す作業です。基本となる配合データは存在しますが、それをベースに微調整を重ねていきます。

ここで重要になるのが、職人の目と経験です。ほんのわずかに赤みが強い、青みが足りないといった違いを見極めながら、塗料を0.1g単位で調整していくこともあります。

また、色は光の当たり方によって見え方が変わるため、工場内の照明だけでなく、屋外の自然光でも確認するケースが一般的です。この工程を何度も繰り返すことで、違和感のない仕上がりに近づけていきます。

 

最近の車ほど難易度が高い理由

近年の自動車塗装は、昔に比べて格段に複雑になっています。特にパールやメタリックカラーは、単純な色の一致だけでなく、粒子の大きさや配列によって見え方が大きく変わります。

例えば、同じシルバーでも角度によって明るく見えたり暗く見えたりするのは、金属粒子の反射によるものです。この粒子感まで再現しなければ、本当に「合っている」とは言えません。

そのため、調色だけでなく、塗り方(スプレーの距離や角度、重ね方)も含めてトータルで仕上がりが決まります。ここまでくると、単なるマニュアル作業ではなく、まさに職人技の領域です。

 

調色の精度で仕上がりはここまで変わる

調色がしっかり行われているかどうかで、修理後の満足度は大きく変わります。特にドアやフェンダーなど部分的な塗装では、隣接パネルとの色のつながりが重要です。

違和感の少ない仕上がりを実現するためには、次のような対応が取られることもあります。

  • 周囲のパネルになじませる「ぼかし塗装」を行う
  • パネル単体ではなく、広い範囲で色を調整する
  • 最終確認を複数の光源で行う

 
こうした工程を丁寧に積み重ねることで、「どこを直したのかわからない」レベルの自然な仕上がりが実現します。

 

価格だけでは見えない『技術の差』

鈑金塗装の見積もりを比較すると、同じ修理内容でも価格に差が出ることがあります。その違いの一因が、この調色にかける手間と時間です。

簡易的な作業であればコストは抑えられますが、その分だけ色の再現性に影響が出る可能性があります。一方で、丁寧に調色を行う工場では、見えない部分に時間をかけている分、仕上がりの自然さに差が出やすくなります。

もちろん、すべてのケースで高価格=高品質とは限りませんが、「色合わせにどこまでこだわっているか」はひとつの判断基準になるでしょう。

車のボディカラーは、その車の印象を大きく左右する要素です。修理後も違和感なく乗り続けるためには、調色という工程の重要性を知っておくことが大切です。見た目では分かりにくい部分だからこそ、そこに技術の差が現れると言えるかもしれません。